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一輪の花(BLEACH)

一輪の花(浮竹十四郎)第四話

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山本元柳斎重國翁は腕を組み、部屋の中央に座っていた。浮竹はその前に片膝を付いた。山本は軽く手を振り、人払いをした。二人だけになると老人は言った。
「お前の失策ではない、立つが良い」
浮竹は素直に立ち上がった。老人は浮竹の顔に焦燥を見た。
「お前と千雪の事は知っている」
やはり知られていたかと浮竹は己を恥じ、頭を下げた。
「申し訳ございません」
山本はこの翁には珍しく温和な笑顔を見せた。
「良いのじゃ。短いながらも、あれも女の幸せを味わえるならと思うてな」
「確かに、私の命はいつ果てるとも・・」
老人の声が重くなった。
「いや、お前より先にあれが逝くじゃろう」
浮竹は驚き、思わず叫んだ。
「どういう事でしょうか」

山本はやや経ってから口を開いた。
「あれの斬魄刀が特殊なのは知っておろう」
「玻璃遮那(はりしゃな)の事ですか」
「一時とはいえ、大虚(メノスグランデ)すら動きを止められる」
「見た事はないのですが、そう聞いております」
老人の後ろに尸魂界の全体図が映し出された。老人は身体の向きを変え、そちらを指差した。
「これが我等の世界、だが今や危機にある」
「はい」
「あれは我等の切り札なのだよ」
老人は振り返り、浮竹の顔を見た。百戦錬磨の目が厳しく浮竹を見据えていた。
「あれの卍解を持って、多数の破面と大虚を足止めする。それを我等の勝機の礎とする」
浮竹は言った。
「千雪の霊力では、卍解は無理です」
老人はうなずいた。
「わかっておる。だが技術開発局によれば、その方法はあると言う」
浮竹は黙っていたが嫌な予感がした。あの部署の考える事は碌な事ではない。
「当人の霊力を一度だけ最大限に上げ、卍解に到らせる事は可能だとな」
山本も内心ではそう思っていたかもしれない。しかし総隊長である者は無情のままに言った。
「その後、その者は命が尽きる」

竜弦はソファに横たわる千雪を見下ろしていた。夜だというのに、リビングには小さな灯しかついていなかった。彼は雨竜が帰った後、こうしてずっと彼女を見ていたのだ。千雪は目を閉じたままだった。竜弦は身をかがめると、千雪の着物の襟に手をかけた。細い首から丸みを帯びた肩、ゆるやかな胸の膨らみの半分程があらわになり、薄闇の中で白く浮いて見えた。竜弦はソファの横に跪き、右手の中指を千雪の喉の中央に軽く押し当てた。男にしては繊細な指だった。そして何かを探るように、少しずつ指を移動していった。探り当てると指はそこで止まった。目を細めている。余程集中しているのだろう。彼の額には汗が滲んでいた。

竜弦の指先から霊気が千雪に流れ込んでいる。義骸にではなく千雪の本体にだ。指先が白い肌の上を移動した。又霊気を送る。数箇所にそれを繰り返した。彼の顔から汗が滴っていた。竜弦は上着を脱ぎ、ネクタイをゆるめた。そして心臓の鼓動を聞くかのように、千雪の胸に片頬を押し当てた。ひんやりとした肌の感触が火照った顔に心地良かった。百合に似た香りが竜弦を包み込んだ。竜弦は大きく息をし、目を閉じた。

今日もクロサキ医院は、日もすっかり暮れたというのに、なかなか患者が途絶える事がなかった。黒崎一心が、最後の患者である老婆がくどくどと礼を言うのをあしらい、送り出した頃には、いつもの夕飯の時刻はとうに過ぎていた。遊子の機嫌が悪いだろうなと一心は思いつつ、机の上のカルテの束をかき集めた。電話が鳴った。
「はい、クロサキ医院・・お前か、珍しいな」
受け答えをする一心の声の調子が変わった。真剣味を帯びている。
「とりあえず、行くからな」
一心は電話を切った。これ以上夕飯が遅れると、夏梨の毒舌も冴え渡りそうだと思いながら。


(続く)


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