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一輪の花(BLEACH)

一輪の花(浮竹十四郎)第三話

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竜弦は病院の駐車場に向かった。白衣ではなく淡い砂色のスーツである。その後ろを浅黄色の着物を着た女が付き従うように歩いている。しかし女に意識はない。霊子の糸で人形の如く操られている。滅却師の最高戦闘霊術・乱装天傀の応用であった。竜弦は女を自分の車まで操り、後部座席に乗せた。女はどさりと座席に倒れ伏した。

雨竜は気が重かった。学校に提出する書類に親の印がいる。病院を訪ねると珍しく早くに帰宅したと言う。それで父のいる家へ向かい仕方なく歩いている。あまり良い思い出がない場所であり、それよりも父親と顔を合わせるのが嫌なのだ。

病院の規模に比べればこじんまりとした家である。玄関を開けると、父の靴ともうひとつ女物の履物があった。
(お客さんか?)
かまわず奥へ進んだ。竜弦はリビングにいた。雨竜の気配をすでに感じていたのだろう、竜弦は驚かなかった。立ったまま雨竜の方に、ちらりと冷たい視線を送った。
「挨拶もなしか、お前らしいな」
いつものように皮肉な声が飛んで来た。雨竜は黙って書類を差し出した。竜弦も黙って受け取り、側の棚に置いた。

雨竜はソファに一人の女が座っているのに気がついた。おかしな事に、雨竜は今まで何の気配も感じていなかった。女は目を見開いていたが、硝子のような瞳には何の感情もなかった。
「この人は?」
「それもわからんほど、お前は愚かになったのか?」
「何故、死神がここに」
竜弦は片手を前に突き出した。その手から霊子の針が無数に飛び、女に突き刺さった。女は悲鳴を上げて椅子から落ち、床に崩れ落ちた。
「何をするんだ!」
雨竜は驚いて叫んだ。
「今のこいつに死神の能力はない。それどころか、自分が誰かの記憶すらない」

雨竜は急いで女を抱き起こした。女は目を閉じていた。睫毛の長い美しい人だった。
「抵抗出来ない相手に、何て事を!」
竜弦は雨竜を見下ろした。
「お前は、死神を憎んでいるのだろう?」
雨竜は竜弦を下から睨みつけた。
「それとこれとは、話が別だ!」
竜弦の口元に薄っすらと笑みが浮かんだ。そして吐き捨てる様に言った。
「お前の甘さには、反吐が出そうだ」
竜弦は大股で歩み寄り、雨竜の手から奪う様に女の身体を抱き上げた。
「これ以上用がなければ、帰れ」
雨竜は立ち上がり、険しい顔で竜弦を見た。そして無言で玄関に向かい歩き出した。
「書類は、出しておいてやる」
その背中に竜弦が言った。雨竜は返事をしなかった。

抱き上げた千雪の身体を、竜弦はソファに横たえた。その仕草には、先程まで欠片もなかったいたわりがあった。眼鏡の奥から彼女を見つめる目にも暖かい光があった。しかしそれは一瞬であった。いつもの無表情を取り戻した竜弦は、棚から先程の書類を取り上げ、立ったまま目を通し始めた。

「浮竹隊長!!」
雨乾堂で横になっていた浮竹の元に、仙太郎と清音が争うように掛け込んで来た。浮竹は素早く起き上がった。
「どうした」
仙太郎が言った。
「現世の駐在任務に出た瀬能が、消息を絶ちました」
「なんだと!」
浮竹は思わず叫んだ。清音もこれ以上先を越されてなるものかとばかりに、仙太郎を押しのけて前へ出た。
「瀬能の霊圧が、空座町で突如として消えたそうです」
仙太郎も清音を押し返しながら言った。
「浦原商店を出た所までは、確認が取れています」
浮竹は穏やかならざる心地のまま、二人に言った。
「すぐに着替えて行く。お前達は待機していろ」
二人は頭を下げて出て行った。
(千雪・・)
浮竹は、千雪の百合に似た香りが、そこに漂ったような気がした。

(続く)

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