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目覚めし風は空高く(TIGER&BUNNY)

(終)目覚めし風は空高く(SKY HIGH)8

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デビューしてすぐに、スカイハイはランキングのトップに躍り出た。


強く優しく頼もしく、何よりも空を飛ぶ能力が人々を魅了した。スカイハイは、たちまち人気者になった。キースの生真面目な性格は市民の望むヒーロー像に相性が良かった。彼は本気で思っていたのだ、悪に苦しむ人々を救いたいと。目の前にいながらも大切な人を救えなかった後悔が、彼を正義へと駆り立てていた。


彼は”ヒーローである事”を自分に課していた。TV放映以外では、だらしない面をさらけ出す同僚も多かったが、キースの性分がそれを許さなかった。彼は定時に市内をパトロールする事を日課とした。市民は空を見上げて彼を指差す。ほら、今日もスカイハイがシュテルンビルトの平和を守ってくれているよ。



老人は空を見上げた。濃茶色の柔らかいコートが老人の痩身を包んでいた。空の高みに一筋の白い雲を引きながら、スカイハイの銀のメルヘットが太陽を照り返すのが見えた。シルバーステージのメイン通りから少しはずれた閑静な住宅街である。マンションに囲まれた石畳の広場は昼下がりの静けさに満たされ、その老人より他に人の姿はなかった。


老人の背後に、一台のリムジンが停車した。リムジンから一人の男が降りて来た。男は今では希少となった天然の鼈甲の縁の眼鏡をかけ、仕立ての良い背広を身に着けていた。リムジンの前後には黒いサングラスに黒服の男が背筋を伸ばして立っていた。


「またひとつ、貴方の作品が完成しましたな」
男の声に老人は振り向いた。
「彼は、彼自身の資質と能力で、今の地位を得たのですよ。マーベリックさん」
「貴方がお膳立てをしたからではありませんか、統括」
老人はゆっくりと首を左右に振った。
「そのような者は、もう居りません。私は只の年寄りに過ぎません」
「ご謙遜を。次はどのように名乗られるかは存じませんが、貴方は我々ネクストの父。我々は貴方から生まれた子供ですから」


老人は再び空を仰いだ。
「数十年は、あっという間ですな。長く生きる身体を得た私は、まだまだ彼らを見守る事が出来るでしょうが、彼らが幸福になるのか不幸になるのかは、いまだに判らぬままです」
マーベリックは力強く宣言した。
「不幸になどなるものですか。その為に、あの方も・・」
言いかけたマーベリックに素早く寄って来た黒服の一人が何やら耳打ちした。マーベリックは低く言った。
「すぐに向かう」
黒服の男は一礼してリムジンの横に戻った。マーベリックは老人の背中に語りかけた。
「急用が出来ました、私は失礼致します」
老人は空を見上げたままだった。
「どうか、お元気で」
老人の後ろ姿に深々と一礼すると、マーベリックはリムジンに乗り込んだ。


老人は、また一人になった。


広場のヴィジョンパネルが宙に瞬き、定時のニュースを流し始めた。株価、事件、市長の顔、シュテルンビルトの日常が流れては消えた。昨日のヒーロー達の活躍も映し出された。
「ありがとう、そしてありがとう!」
スカイハイの良く通る声が広場に響き渡った。白いコートを翻し、敬礼する姿がクローズアップされた。老人の口元に微かな笑みがよぎった。


ヴィジョンが消えると、老人は歩き始めた。ゆっくりと、これからも続く長き時間を、踏みしめるかのように。



(The end. Thanks, and thanks again!....SKY HIGH)


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