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月は夜に蒼褪めて(TIGER&BUNNY)

月は夜に蒼褪めて(LUNATIC)8 終

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一面の瓦礫の中央に佇み、ユーリは呆然としていた。夕暮れの紅の空は急速に闇に飲まれ、遠くには都市の繁栄の象徴たるゴールドステージの灯が、次第にきらびやかに瞬き始めていた。


期末試験が終わり、ユーリは半月ぶりで老人の住まいを尋ねた。その地区は跡形もなく取り壊されていた。再開発を告げる看板と張り巡らされた立ち入り禁止のロープの向こうで、今日の作業を終えた重機の巨大な影が、剥き出しの地面に黒々と落ちていた。あたりには人っ子一人いなかった。


ロープを潜り抜け、ユーリは老人の住まいだった建物の跡を探した。昇り始めた月の光だけを頼りに。入り口が何処にあったのかすらも解らなくなっていた。
(やっと見つけた場所だったのに。僕がいても許される場所)
手仕事をする老人の傍らに座し、時折ぽつりぽつりと話す老人の言葉に耳を傾ける。それだけであっても、ユーリには大切な場所だった。


有力者の息子に裁きを与えた事を告白した時、老人はユーリのした事を肯定も否定もしなかった。父殺しを告白した時と同じだった。何が罪か、何が正義か、それをユーリに問う事もなかった。ユーリは老人のまなざしを思い起こした。深く静かに自分を見るまなざしを。その目はいつも言っていた。己の心に問えと、心に響く声を聴けと。


ユーリは瓦礫の中に座り込んだ。抱えた膝に額を押し付けた。建物と共に崩れ去った自分の中の何か、失われてしまった何か、その空疎さに耐え切れずに。動いたら、身体がバラバラになってしまいそうだった。この瓦礫のように。


どの位の時が流れたであろうか。月は今や天頂にあった。ふと顔を上げたユーリは、高く輝く月に照らされた廃墟の隅に、微かな煌きを見た。ユーリは立ち上がった。瓦礫と瓦礫が折り重なりあい、ぽっかりと空いた場所に、それは無傷で残されていた。隙間に手を突っ込み、ユーリはそれを引っ張り出した。蒼褪めた顔がユーリを見た。大きな目、歯を剥き出して笑う口、神の顔を模した仮面。


ユーリは老人の言葉を思い出した。


(お前に顔を作ってやろう。この世界の悪を見逃す事なき神の顔を。あらゆる悪を憎み、正義を貫く決意を隠した者に与えられる仮面を。青き裁きの炎を持つに相応しい顔を)


冷たい月の光を浴びて、ユーリは絶叫した。


夜を見守る月よ、あの人が同じ夜の下にいるなら伝えておくれ。僕が僕の正義を貫くその様を。心に聴こえるあの神の声に従って。夜から生まれた死と眠り、罪なき人々には安らかなる眠りを、その眠りを脅かす悪には死を・・それが僕の願い。


僕の顔は闇に消え、新たな顔が罪を裁く


月よ、力を。我に正義を。我が名は・・lunatic.


(The end.)


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