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METAL GEAR SOLID

そして俺は珈琲を飲む(MGS4・雷電)

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朝食のテーブルで、俺は珈琲を飲んでいる。


「今日は、数学のテストがあるんだ」
息子のリトル・ジョンが白身の切れ端を口に押し込みながら言う。
「今度は及第点を取ってね」
ローズマリーがフライパンを覗き込みながら言う。フライパンの上で、丸い黄身がふたつ、サニーサイドアップになるのを待っている。



息子は俺にちらりと視線を送る。
(また、お母さんのお小言だ)
共犯者の笑いを含んだまなざしを俺は返してやる。
(ああ)
息子はちょっと肩をすくめ、俺に笑顔を返す。そして再び目玉焼きを口に押し込む作業に戻る。俺も再びマグカップを口元に運ぶ。俺は普通の食事は出来ない。俺の機械の身体は普通の食物を受け付けない。だが飲み物を飲む事は出来る。だから珈琲を飲む事で、家族と一緒に食事をしている気分を味わっている。



ローズマリーの手料理を食べる事が出来ないのは、不幸なのか幸せなのか、考えてみる事がある。近所のデリバリーの料理の方がお母さんの料理より美味しいと、リトル・ジョンはこっそりと俺に打ち明けた。俺と分かち合う秘密が増える事が、二人の親密度が増していく証のように。



「お父さん、今日は遅くなる?」
「いや」
「じゃあ、夜は一緒にローガンのTVを見ようよ」
「ああ」
ローズマリーが叫ぶ。
「早く食べなさい、遅れるわよ」
リトル・ジョンは慌てて立ち上がる。
「行って来ます!」



俺はキャンベル大佐の関係する機関に所属している。機関の学校の教師の様な事をしている。俺は戦う事しか出来ないと思っていたが、戦い方を教える事も出来るのだと知った。大佐の役に立つならと、この仕事を引き受けた。ローズマリーの手料理を長年食べてくれた大佐への感謝の意味も込めて。



あの日、世界は人知れず変わったが、戦争はなくなっていない。世界のどこかで、今も戦争は続いている。オタコンは相変わらず世界中を飛び回っている。俺が必要な時は呼んでくれと言ってあるが、オタコンは俺をそっとしておいてくれるつもりらしい。いつか本当に俺が必要となる時まで。そう遠くない未来の、その日まで。



ローズマリーが皿を運んで来る。素敵に焼きあがった目玉焼きが載っている。
「珈琲のお替り、欲しい?」
「ああ」
ローズマリーがマグカップに珈琲を注いでくれる。
「ありがとう」
彼女は黙って微笑み、食卓に着く。



そして俺は珈琲を飲む。珈琲は、この世界の様に、熱くほろ苦い。スネークが残してくれた、この世界の様に。そして俺は立ち上がる。俺の人生を生きる為に。俺と、ローズマリーと俺の息子と共に。



「今日は遅くなる?」
さっきと同じ事を聞かれ、俺は苦笑する。
「いや」
「帰りに買い物、お願いしていい?」
ローズマリーの言葉に対して、拒否という選択肢は用意されていない。
「いいよ」
俺はメモを渡される。品物が列記されている。俺の脳は機械化されていない。俺がこの手の事を覚えるのが苦手だと、ローズマリーは知っている。だからメモに書いて俺に渡すのだ。



俺が幸福を感じる瞬間があるとしたら、こういう時だと、そう言ったら、スネークは笑うだろうか。


白い花の咲き乱れる、地面の下で。





(あの戦いの後、或る朝、ジャックとローズマリーとジョンの風景より)



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