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月は夜に蒼褪めて(TIGER&BUNNY)

月は夜に蒼褪めて(LUNATIC)4

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死と眠りは兄弟だ。


老人が教えてくれた。目覚めるか、そうでないかの違いだけだと。悪夢から目覚めて、現実という悪夢の中を生きていくのと、目覚めぬままに悪夢を見続けるのと、どちらが良いのだろう。


それはユーリにとって二度目の裁きだった。青い炎に焼かれながら、地面をのた打ち回って泣き叫ぶ太った身体を、ユーリは見下ろしていた。理解出来ぬままに、彼は死んでいくだろう。気まぐれな彼に、何故惨い仕打ちをされねばならなかったのか、理由もわからぬ者達が多くいたのと同じ様に。彼の悪意に耐え切れず、自らの命を絶った少女と、彼は同じ場所へは行く事はないだろう。


ユーリの目は燃えていた。青き炎に。


磨り減った石の階段を下りた先に、老人の部屋はあった。地域開発に見捨てられたこの地区には、廃墟同然の建物が幾つも長年の風雨に晒された石の壁を見せていた。石の部屋は冷たく、暗かったが、老人には安住の地であるらしかった。老人は古びた安楽椅子に腰を下ろすと、とても寛いだ顔をした。
「坊やもお座り」
丸い木の椅子に、ユーリは恐る々々腰を下ろした。あまりにも古くて、細身の彼といえども腰を掛けたら壊れてしまいそうだった。


部屋の中は独特の匂いがした。薬品の様でもあり、油絵の具の様でもあった。一方の壁は一面に棚になっていた。棚の前に置かれた作業台に、積み上げられた布や道具が何に使われるのか、ユーリには解らなかった。もう一方の壁に大きな絵が掛かっていた。部屋に似つかわしく暗い絵だった。蒼褪めた顔の男が笑っている。大きな目、吊り上がった口元が不気味だった。


「あの絵は何?」
「あれはタナトス、死の神だよ」


背景は死屍累々の古代の戦場で、男の手はぐったりとした一人の男の襟首を掴んでいる。死体の山から彼を引きずり出し、何かの吟味をしているかの様だ。笑う男はボロ布の如き長衣を纏い、裂けた裾を風になびかせていた。
「英雄の魂はヘルメスが神の御許に運び、罪人はタナトスが地獄に連れて行くのさ」
「英雄・・ヒーロー・・・」
ユーリのつぶやきを聞き、老人は笑った。
「子供はみんな、ヒーローが好きなんだな」
「僕は、嫌いだ」
ユーリはきっぱりと言った。


老人は面白そうな顔をした。
「変わった子だな。さっきはヒーローじみた事をしていたじゃないか」
例の権力者の息子と取り巻きに虐められていたクラスメートを救おうと、ユーリは彼等に割って入った。今度はユーリが悪童達の標的となった。クラスメートはその隙に逃げ出した。ユーリを救ってくれたのが、この老人だった。老人が一喝して睨むと、悪童達はユーリを置いて逃げて行った。
「もう、我慢しちゃいけない気がしたんだ」
「何故だね」
「解らないけど」
「奴等は、悪ガキだな。弱い者虐めが好きそうだ」
「そういう奴等だ。死んでもいいのに」
「だが、もし殺しでもしたら、君の罪になる」



壁の絵を見ながら、ユーリは言った。
「罪なら、もう犯してる」



(To be continued,may be....lunatic.)



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