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摩天楼に風は吹く(TIGER&BUNNY)

摩天楼に風は吹く(SKY HIGH)11 終

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入って来た彼を見ても、彼女は笑顔を見せなかった。むしろ哀しげな顔をした。上掛けの上に投げ出された腕の細さに、彼は胸を突かれた。何処までも白い部屋だった。壁も床も天井も。ベッドの側に行くと、彼は跪いた。そして彼女の顔を覗き込んだ。二人は見詰め合った。
「キース・・」
その声は掠れていたが、確かに彼女の声だった。彼女の目に涙があふれた。許しを請う言葉も拒絶する言葉も、何もかもが二人の間から消え去った。彼は彼女を抱きしめた。彼女も彼を。再び巡り合えた今、残された時間のない今、どんな見栄も意地も不要だと、二人は感じていた。


「ご友人というだけでは、面会の許可はしかねます」
彼女の担当医は言った。実直そうな老人だった。
「彼女の容態だけでも」
「守秘義務がありますので」
医師は渋い顔をした。彼はすべてを医師に打ち明けた。医師は驚いた顔をした。
「貴方が、スカイハイ」
医師はしげしげと彼を眺めたが、すぐに医師の顔を取り戻した。
「覚悟をしておいて欲しいのですが」
「はい」
「容態が悪化したら、集中治療室に移されます。次にそうなった時には・・」
その先は言われなくても解った。彼は黙って頷いた。
「では、ご案内致します」


その日から、スカイハイの夜のパトロールのコースが変化した。


パトロールの最後に、あの窓へと彼はやって来る。日々衰えていく彼女に逢う為に。彼女は今では起き上がる事すら出来ぬようになっていた。しかしスカイハイの気配を感じると、窓の外の彼の方に目を向ける。彼はヘルメットをはずし、素顔を見せる。しばらく二人は見詰め合う。そして彼は再びヘルメットをかぶり、天空へと舞い上がる。


或る日、窓にはブラインドが降りていた。


彼は宙に静止したまま、窓を見ていた。室内に灯りはなかった。暗い窓は鏡となり、スカイハイの姿を映していた。キング・オブ・ヒーロー、絶大なる能力と功績で市民に愛されるヒーロー。多くの人々の絶望を希望に変えたヒーロー。だが、その彼にも救う事の出来ぬ哀しみが、すぐそこに迫っていた。


「そうですか、ありがとうございました」
「どうかしたんですか?」
電話を切ったスカイハイの顔の微妙な影を見て、同じく休憩をしていた折紙サイクロンが声をかけた。スカイハイは、ゆっくりと言った。
「何でもない、何でもないんだ」


彼は夕暮れの街に飛び立った。


君と出会い、私は人を愛する事を知った。一人の男として愛される事を知った。君を愛した事に後悔はない。運命は私達に過酷ではあったが、二人で過ごした幸福な時もまた、運命が与えてくれたかけがえのない宝だ。


コートの裾を翻し、彼は摩天楼の間を翔け抜けた。風は高く空を吹き抜け、彼をどこまでも運んでいった。彼が守って来た都市の上を。彼の胸は哀しみに満ちていたが、けして暗いばかりではなかった。彼の中には、新たな決意が芽生えていた。スカイハイは、藍色に染まる空を見上げた。


私は、私の風が吹く限り、ヒーローでいよう。君が守ってくれたこの命で。君はこの空の彼方で、君の夢を実現するのかも知れないな。沢山の花で一杯の庭。君は笑顔で手入れに勤しむだろう。天の君の庭まで、私の風は届くだろうか。私の風が君の花を揺らしたら、君は私を想い出してくれるだろうか。そして呼んでくれるだろうか、私の名を。


君だけが呼んでくれた、私の名を。


(The end.)



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