摩天楼に風は吹く(TIGER&BUNNY)
摩天楼に風は吹く(SKY HIGH)8
カフェの店先の、緑に塗られたテーブルには、大きなパラソルが付いていた。パラソルの模様が影になり、二人の上に落ちていた。彼女の前にはペリエとレモン、彼の前には珈琲が置かれていた。
彼女がストローを弄びながら言った。
「私が自分の店を持てたら、貴方も一緒にやる?」
「花屋で、私は何をすればいいのだろう」
「配達をお願いするわ。貴方ならひとっ飛びね」
「喜んでやらせてもらうよ」
引退したら、そんな暮らしも良いかも知れないと、彼は思った。
「いつか庭のある家に住みたいの。庭一杯に、花を咲かせたいの」
「芝刈りは、私がやろう」
他愛のない夢、ままごとのような未来。彼女とそんな話をするのが楽しかった。今の自分を疎かにするつもりはなかったが、この先の生き方に選択肢があると思えるのはうれしかった。ヒーローである事を打ち明けてから、スカイハイは気が楽になった。突然の出動要請にも言い訳をしなくてすむ。彼女は彼の仕事に理解を示した。限られた時間を大切に過ごしたいと、二人は互いに思いあっていた。
二人はショッピングアーケードを歩いた。
「君はいつも白かベージュの服を着ているね。もっと綺麗な色も似合うと思うのだが」
「お店の主役は花達だもの。私は地味な方がいいの」
「仕事以外の時は?」
「私は何のとりえもない人間よ。似合う色なんてあるかしら」
「そんな事はない、何色でも似合うよ」
「じゃあ、貴方が選んで下さる?」
結局、スカイハイは白いドレスを選んでしまった。彼女の可憐さを何色にも染めたくない気がした。空に漂う白い雲のようなレースがアクセントになったドレスは、彼女にとても良く似合った。彼女は笑って、彼の選んだドレスを買う事にした。
「私が買おう、君へのプレゼントだ」
「あら、悪いわ。いただけないわ」
「私が、このドレスを着た君と出かけたいのだ。そうさせてくれ」
「ありがとう」
「誕生日には、これを着てくれないかな」
ネイサンの入れ知恵で、彼女の誕生日に海の見えるレストランを予約してあった。
「すまない、仕事なんだ」
「頑張ってね、私のヒーロー」
彼女は明るい声で言った。電話が切れた後、スカイハイは溜息をついた。せっかくの誕生日なのに、彼女ががっかりしていないはずはない。しかし彼はヒーローであった。
「よし!」
大きな声で気合を入れると、彼はヘルメットを手にした。
ひとつの事件は解決したが、次の通報が入った。テロリストが暴れている。ヒーロー達も赴く事になった。それは彼女と待ち合わせた店がある地区だった。そのまま食事をしていくと彼女は言った。テロリストによって通信網は破壊されていた。彼女への電話は繋がらなかった。
(無事でいてくれ)
彼は急いだ。
(To be continued,may be....SKY HIGH)
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彼女がストローを弄びながら言った。
「私が自分の店を持てたら、貴方も一緒にやる?」
「花屋で、私は何をすればいいのだろう」
「配達をお願いするわ。貴方ならひとっ飛びね」
「喜んでやらせてもらうよ」
引退したら、そんな暮らしも良いかも知れないと、彼は思った。
「いつか庭のある家に住みたいの。庭一杯に、花を咲かせたいの」
「芝刈りは、私がやろう」
他愛のない夢、ままごとのような未来。彼女とそんな話をするのが楽しかった。今の自分を疎かにするつもりはなかったが、この先の生き方に選択肢があると思えるのはうれしかった。ヒーローである事を打ち明けてから、スカイハイは気が楽になった。突然の出動要請にも言い訳をしなくてすむ。彼女は彼の仕事に理解を示した。限られた時間を大切に過ごしたいと、二人は互いに思いあっていた。
二人はショッピングアーケードを歩いた。
「君はいつも白かベージュの服を着ているね。もっと綺麗な色も似合うと思うのだが」
「お店の主役は花達だもの。私は地味な方がいいの」
「仕事以外の時は?」
「私は何のとりえもない人間よ。似合う色なんてあるかしら」
「そんな事はない、何色でも似合うよ」
「じゃあ、貴方が選んで下さる?」
結局、スカイハイは白いドレスを選んでしまった。彼女の可憐さを何色にも染めたくない気がした。空に漂う白い雲のようなレースがアクセントになったドレスは、彼女にとても良く似合った。彼女は笑って、彼の選んだドレスを買う事にした。
「私が買おう、君へのプレゼントだ」
「あら、悪いわ。いただけないわ」
「私が、このドレスを着た君と出かけたいのだ。そうさせてくれ」
「ありがとう」
「誕生日には、これを着てくれないかな」
ネイサンの入れ知恵で、彼女の誕生日に海の見えるレストランを予約してあった。
「すまない、仕事なんだ」
「頑張ってね、私のヒーロー」
彼女は明るい声で言った。電話が切れた後、スカイハイは溜息をついた。せっかくの誕生日なのに、彼女ががっかりしていないはずはない。しかし彼はヒーローであった。
「よし!」
大きな声で気合を入れると、彼はヘルメットを手にした。
ひとつの事件は解決したが、次の通報が入った。テロリストが暴れている。ヒーロー達も赴く事になった。それは彼女と待ち合わせた店がある地区だった。そのまま食事をしていくと彼女は言った。テロリストによって通信網は破壊されていた。彼女への電話は繋がらなかった。
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